観戦ガイド 2026-09-16

アメフトのタイブレークのルール|2点トライ必須の条件と関東の実例

はじめての方向け

スコアボードは同点のまま試合が終わったはずなのに、結果表を見るとはっきり勝敗が記録されている――大学アメフトの結果を追っていて、そんな疑問を持ったことはないでしょうか。この記事では、同点で第4クォーターが終わった試合を決着させる「」の進み方と、関東学生リーグ(KCFA)で実際にどう運用されているかを、過去3シーズンの実例とあわせて解説します。

アメフトのタイブレークとは

タイブレーク(超過節)は、第4クォーター終了時に同点で、かつ勝敗を決める必要があるときに行う延長戦のことです。

「オーバータイム」「超過節」「延長」など呼び方はいくつかありますが、指している仕組みは同じです。通常のクォーターとは、次の3点が異なります。

日本の大学・学生の試合で使われているのは、試合時計を使わずに両チームへ同じ攻撃機会を与えるタイ・ブレイク・システムです。日本アメリカンフットボール協会の公式規則書(2026〜27年度版)では、第4節終了時に同点のときにこのシステムを「行うことができる」と定め、採用する場合は少なくとも試合前日までに主催者から両チームと審判員へ通知することになっています。関東学生アメリカンフットボール連盟(KCFA)の順位順列決定方法にも「タイブレイクシステムによる超過節」という表現で定められています。競技規則そのものは日本アメリカンフットボール協会の公式規則書が定めています。

タイブレークはどう進むのか

コイントスで先攻・後攻とプレーサイドを決め、両チームが1回ずつ敵陣25ヤードから攻撃し、その回の得点が多い方が勝ちます。

  1. コイントスを行い、勝ったチームが「かか」または「どちら側のフィールドで行うか」のどちらかを選び、負けたチームが残りを選ぶ(偶数回目の超過節では、最初のトスに負けたチームが先に選ぶ)
  2. 先攻チームが敵陣25ヤード地点から攻撃する(得点するか、ターンオーバー〔相手にボールを奪われること〕や新たなの獲得失敗で攻撃権を失った時点で終了)
  3. 後攻チームが同じく敵陣25ヤード地点から攻撃する
  4. 表・裏の1回が終わったところで、その回の得点を比較する
  5. 得点が同じ場合は、次の回へ進む
タイブレークの始め方。相手のゴールラインまで25ヤードの地点から、先攻・後攻が1回ずつ攻撃する
タイブレークの始め方。相手のまで25ヤードの地点から、先攻・後攻が1回ずつ攻撃する

通常の試合と違い時計に追われないため、を狙うか、4回目の攻撃(4th)で得点や10ヤード更新を狙いにいくかといった選択が、そのまま得点差として結果に表れやすい形式です。

攻撃の開始地点が敵陣25ヤードであることは、公式記録からも確認できます。2025年8月30日の立教大学対東京大学戦の公式結果PDFに収録されたドライブチャートでは、延長1回・延長2回の各攻撃がいずれも25ヤード地点から始まった記録になっています。

2回目・3回目以降は2点トライの決まりが変わる

超過節が続くと、後のトライ(追加点)の扱いが変わります。日本アメリカンフットボール協会の公式規則書(2026〜27年度版、第3章第1条第3条)の定めは次のとおりです。

超過節攻撃の始め方タッチダウン後のトライ
1回目敵陣25ヤードから攻撃通常どおり1点(キック)か2点を選べる
2回目敵陣25ヤードから攻撃2点のトライをしなければならない(1点のトライは得点として認められない)
3回目以降25ヤードからの攻撃は行わない各チームが3ヤードラインから2点トライの1プレーだけを行う

タイムアウトは、1回目と2回目の超過節にそれぞれ1回ずつ、3回目の超過節から試合終了までに1回ずつ認められます。第4クォーターまでに使わなかったタイムアウトは超過節に持ち越せません。

勝敗は、通常の4つのクォーターと超過節の合計得点で決まります。ただし後述のとおり、KCFAのや順位表に載るスコアは規定時間のスコアで、タイブレークの得点は含まれていません。

関東学生リーグでは同点でもタイブレークで決着する

関東学生アメフトのリーグ戦では、第4クォーター終了時に同点でもタイブレークで勝敗が決まり、星取表には引き分けではなく勝敗が記録されます。

KCFAの順位順列決定方法には、・チャレンジマッチについて「第4クオーター終了時、同点の場合は、タイブレイクシステムによる超過節を行い勝敗を決する」と定められています。同じページには、順列(同チームの並び)を決める際の得失点差について「タイブレークでの得点は、順列決定に際しての得失点差には含まない」という注記もあります。

KCFAの勝ち点は勝ち3点・引き分け1点・負け0点と定められていますが、星取表には引き分けの区分が見当たらず、スコアが同点だった試合もタイブレークの結果にもとづく勝敗記号(○●)でどちらかの勝利として記録されています。本サイトもスコアの大小ではなく、この勝敗記号を正として集計しています。

KCFA公式サイトに掲載された2019年秋季リーグ戦のレポートにも、リーグ戦でタイブレークにより決着した試合の記述があり、リーグ戦でのタイブレークは近年に限った運用ではないことがうかがえます。

順位表そのものの読み方は、関東学生アメフトリーグの順位表の見方|勝ち点と順列の決まり方で解説しています。

過去3シーズンでタイブレークになった6試合

本サイトが保有する2023〜2025年度のTOP8・BIG8の全161試合のうち、第4クォーター終了時に同点となりタイブレークで決着したのは6試合です。

年度リーグ日付対戦(規定時間のスコア)タイブレークの得点勝ったチーム
2024年度TOP810月5日明治大学 20-20 東京大学7-8(延長1回)東京大学
2024年度TOP810月27日慶應義塾大学 14-14 東京大学10-13(延長2回)東京大学
2024年度BIG812月1日駒澤大学 14-14 青山学院大学3-0(延長1回)駒澤大学
2025年度TOP88月30日立教大学 17-17 東京大学13-15(延長2回)東京大学
2025年度BIG89月6日国士舘大学 10-10 横浜国立大学6-3(延長1回)国士舘大学
2025年度BIG89月28日青山学院大学 28-28 東海大学13-7(延長2回)青山学院大学

※スコア・延長得点はKCFAが公開する各試合の公式結果PDFにもとづき、本サイト編集部が集計しました。

割合にすると161試合中6試合

2023〜2025年度の3シーズン、TOP8・BIG8合計161試合のうち6試合が、第4クォーター終了時点の同点からタイブレークに入っており、およそ27試合に1試合の割合です。年度別では2023年度が0試合、2024年度が3試合、2025年度が3試合で、発生する試合数はシーズンによって異なります。頻繁に見られるものではありませんが、1シーズンを通して追っていれば出会う可能性がある、という程度の頻度です。

延長1回で決着した試合と、延長2回に入った試合

6試合の内訳は、延長1回で決着した試合が3試合、延長2回まで入った試合が3試合です。延長2回に入ったのは、2024年10月27日の慶應義塾大学対東京大学戦、2025年8月30日の立教大学対東京大学戦、2025年9月28日の青山学院大学対東海大学戦の3試合です。

延長2回まで入った試合では、1点のキックではなく2点のトライフォーポイントを選んだ記録も残っています。2025年8月30日の立教大学対東京大学戦は、延長1回が7-7、延長2回は立教大学が6点、東京大学が8点で、タイブレーク通算15-13で東京大学の勝利となりました。この8点は、得点構成としてはタッチダウンに2点のトライフォーポイントを加えた形です。前述のとおり、2回目の超過節ではタッチダウン後に2点のトライをしなければならないため、立教大学の6点はトライが成功しなかった形、東京大学の8点は2点トライが成功した形と読み取れます。

タイブレークは試合の所要時間にも表れる

2025年8月30日の立教大学対東京大学戦(TOP8第1節・アミノバイタルフィールド)は、公式記録によると試合開始15時00分・試合終了18時03分で、所要時間はおよそ3時間でした。観衆は599人と記録されています。2024年10月27日の慶應義塾大学対東京大学戦(TOP8第6節)は17時00分開始・19時36分終了で、観衆は860人でした。

同点のまま第4クォーターが終わりそうな展開では、こうした延長分だけ試合終了予定時刻が延びる場合があります。次の試合の日程はTOP8 日程・結果とBIG8 日程・結果で確認できます。

TOP8の3試合はいずれも東京大学の試合

表の6試合のうち、TOP8の3試合はいずれも東京大学が当事者で、3試合とも東京大学が勝っています。これが偶然によるものかどうかを判断できる材料は、本サイトの手元にはありません。東京大学のこれまでの戦績は東京大学のチームページで確認できます。同点でもタイブレークで勝敗が付く試合が通算勝率の集計にどう入るかは、関東学生アメフトの通算勝率ランキングで解説しています。

タイブレークの得点は順位表にどう反映されるか

タイブレークで決まった勝敗は勝ち点に反映されますが、タイブレーク中の得点は順列判定の得失点差には含まれません。

KCFAの順位順列決定方法では、勝ち点は勝ち3点・引き分け1点・負け0点と定められており、タイブレークでの得点は順列決定に用いる得失点差には含めない、と注記されています。

星取表や本サイトのTOP8 順位表・BIG8 順位表に載るスコアは、第4クォーター終了時点の規定時間のスコアであり、タイブレークの得点は加算されていません。したがって本サイトの順位表の得失点差にも、タイブレークの得点は含まれていません。

一方で勝敗については勝敗記号のとおりに扱うため、TOP8 記録室に載せている通算勝率でも、タイブレークでの勝ちは1勝として数えています。なお本サイトの得失点差はKCFA非公表のため、編集部が試合結果から集計した参考値です。

観戦するときに押さえておきたいこと

よくある疑問

大学アメフトに引き分けはあるのですか

KCFAの勝ち点制には引き分け1点という定めがありますが、星取表には引き分けの区分が見当たらず、スコアが同点だった試合もタイブレークにより、どちらかの勝敗として記録されています。

NFLの延長戦と何が違うのですか

NFLの延長戦は試合時計を使う形式です。一方、日本の学生の試合で使われているタイ・ブレイク・システムは時計を使わず、両チームに同じ攻撃機会(敵陣25ヤードからの攻撃を1回ずつ)を与える方式である点が異なります。

タイブレークは何回まで続くのですか

公式規則書の超過節の規定には、回数の上限は書かれていません。3回目以降は両チームが3ヤードラインから2点トライを1プレーずつ行う形になるため、どちらかが成功してもう一方が失敗した時点で決着します。

チャレンジマッチや入れ替え戦でも同じですか

KCFAの順位順列決定方法には、入れ替え戦・チャレンジマッチについても「第4クオーター終了時、同点の場合は、タイブレイクシステムによる超過節を行い勝敗を決する」と定められています。TOP8とBIG8の入れ替えの仕組み自体は、大学アメフトTOP8とは|仕組み・出場校・BIG8との違いで解説しています。

まとめ

参考リンク

本記事の内容は執筆時点のKCFAおよび日本アメリカンフットボール協会の公表情報にもとづいています。最新の規則・結果は各公式サイトでご確認ください。

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