トレーニング 2026-10-20

アメフト プロテインの摂取タイミング|練習後だけでなく1日の配分で考える

「練習が終わったら30分以内にプロテイン」。部の先輩やチームメイトから、そう聞いたことがある部員は多いかもしれません。一方で、授業や移動の都合で練習直後に飲めない日もあり、「飲めなかった日は意味がなかったのか」と気にする人もいると思います。この記事では、プロテインの摂取タイミングについて、国際スポーツ栄養学会(ISSN)の公式見解、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の公開情報をもとに整理します。

先に断っておくと、ここで示すのは一般的な考え方の目安です。体格、ポジション、持病、アレルギー、腎機能などで適した量は変わります。実際の摂取量や製品選びは、チームのトレーナーや公認スポーツ栄養士・管理栄養士、医師に相談して決めてください。

結論の整理:タイミングより先に「1日の量」と「配分」

ISSNは2017年に、運動とたんぱく質に関する公式見解(Position Stand)を公表しています。その中で、運動をしている人の多くにとって、たんぱく質は体重1kgあたり1日1.4〜2.0gで足りると示されています。タイミングについては、運動前でも運動後でも利点は得られ、最適な時間帯は個人の許容度(食べやすさ・お腹の具合)によるところが大きい、という整理です。

つまり、「練習後30分が絶対」と言い切れる状況ではなく、まず1日の総量を確保し、それを複数回に分けて摂ることが土台になります。タイミングは、その土台の上で調整する要素と考えるのが無理のない見方です。

1日にどれくらい必要か:2つの基準を並べて読む

一般向けの基準:食事摂取基準の推奨量

厚生労働省の食事摂取基準(2025年版)では、男性18〜64歳のたんぱく質の推奨量は1日65gとされています。これは一般の成人を対象とした基準で、毎日ハードな練習とウエイトトレーニングを行う競技者向けの目標値ではありません。同じ報告書の別の項目でも触れられていますが、各論の基準は参照体位と身体活動レベル「ふつう」を想定した値で、そこから大きく外れる場合は注意が必要とされています(増量期の食事との関係はアメフト 増量メニューの食事の組み立て方で整理しています)。

運動をしている人向けの見解:ISSNの1.4〜2.0g/kg

ISSNの見解は、運動をしている人を想定しています。体重ごとの目安を、上の範囲で単純に計算すると次のようになります。これは編集部の計算例で、個人の必要量そのものではありません。

体重1日の目安(1.4〜2.0g/kg)1回あたり(0.25g/kg)
70kg98〜140g約17.5g
80kg112〜160g約20g
100kg140〜200g約25g

ISSNは1回の量として、体重1kgあたり0.25gの良質なたんぱく質、または絶対量として20〜40gを挙げています。体の大きいポジションの部員は、0.25g/kgで計算するとやや多めになりますが、これも目安にすぎません。大切なのは、一度に大量に摂るよりも、適量を何回かに分けるという考え方です。

摂取タイミングの考え方を4つの場面で整理する

練習後:早めが無難、ただし「過ぎたら無駄」ではない

ISSNの見解は、運動による筋たんぱく質合成を高める効果は少なくとも24時間続くが、運動後の時間が経つにつれて弱まっていく可能性が高い、という趣旨です。この記述から、運動後は早めに摂るほうが無難と考えられますが、30分を過ぎたら効果が消えるという書き方はされていません。

練習後すぐに食事が摂れない部員は、おにぎりや牛乳などの補食、プロテインを使って、できるだけ早めに補給する選択肢があります。逆に、練習後の食事がすぐ摂れる環境なら、その食事でたんぱく質を確保するだけでも構いません。ISSNは、運動をする人が日々のたんぱく質を食品全体から摂ることを基本としています。

朝・昼・夕:均等に分ける

ISSNは、これらの量を3〜4時間ごとに、1日を通して均等に配分するのが望ましいとしています。朝食がパンとコーヒーだけで終わる、昼は丼物、夜にまとめて肉を食べる、といった偏りがある場合は、朝と昼に卵・納豆・魚・乳製品などを足す方が、配分としては整います。この点は、秋田県スポーツ科学センターの増量コラムでも、1日の量が同じなら朝・昼・夕に分けたほうが筋肉量が増加するとされている点と方向性が一致します。

就寝前:選択肢のひとつ

ISSNの見解には、就寝30分前に30〜40gのカゼインたんぱく質を摂ると、夜間の筋たんぱく質合成が高まったという研究が紹介されています。ただし、これは研究上の結果であり、全員が夜に飲む必要があるという意味ではありません。夕食が早い、練習が夜遅くまである、夜食をとりにくいといった事情の部員が検討する選択肢と受け取るのが妥当です。

試合日・合宿期:食べやすさを優先する

試合当日や夏合宿のように、食事が乱れやすい期間は、決まったタイミングにこだわるよりも、食べられるものを欠かさず摂るほうが現実的です。ISSNも、最適な時間帯は個人の許容度によるとしています。胃腸が弱い人は、運動直前に重いものを避けるなど、練習中の体調を見ながら試してください。夏場の体調管理はアメフトの夏合宿の熱中症対策も併せて確認してください。

プロテインを使う前に確認したい3点

1. 食事で足りているか

ISSNは、運動をする人が日々のたんぱく質を、まず食品全体から摂ることを基本としています。JADAも、アスリートの栄養について「Food First(食事第一)」の考え方を示しています。プロテインは食事を補う手段であり、食事の代わりではありません。1日の食事で何グラム摂れているか分からない場合は、まず1週間分の食事内容をメモして、トレーナーや栄養士に見てもらうのが近道です。

2. 製品の安全性を自分で確認する

アンチ・ドーピングの観点では、サプリメントは注意が必要な領域です。JADAは公式ページで、サプリメントは法律上「食品」に分類され、医薬品のように全成分を表示する義務がないため、ラベルやパッケージに書かれていない物質が含まれている可能性があると説明しています。また、表示されていない物質が原因でアンチ・ドーピング規則違反になった場合でも、アスリートが自分で責任を負うことになります。JADAのアスリート向けサイトでは、国際的な調査で一定割合のサプリメントから禁止物質が検出されたことも紹介されています。

なお、JADAのサプリメント認証プログラムは2019年3月31日で終了しており、現在JADAはサプリメントの分析や認証を行っていません。競技会に出場する選手は、使う前に「本当に必要か」を自問し、チームの指導者や専門家に相談してください。大学の部活動の場合、部として使用を取り決めているケースもあるため、独断で購入せず、まず部内のルールを確認するとよいでしょう。

3. 量を増やしすぎない

増量期には「たくさん飲めばよい」と考えがちですが、秋田県スポーツ科学センターの資料では、たんぱく質を多くとってもその分だけ筋肉が増えるわけではない、とされています。ISSNが挙げる範囲も、1日あたり体重1kgあたり1.4〜2.0gです。腎臓や肝臓などに持病のある人、アレルギーのある人、服薬中の人は、量を自己判断で増やさないでください。

1日の流れに当てはめた例

以下は、上の考え方を編集部が1日に当てはめた例です。分量は個人差が大きいため載せていません。

時間帯組み立ての例狙い
朝食卵・納豆・魚・乳製品のいずれかを主食に添える1日のスタートでたんぱく質を確保
昼食主食に加え、肉・魚・豆腐などの主菜を入れる3〜4時間ごとの配分を保つ
練習前後おにぎりと牛乳など、食事で補う。難しければプロテインを検討練習後は早めに補給
夕食主食・主菜・副菜・汁物をそろえる1日の不足を整える
就寝前食事が早い日のみ、乳製品などを検討夜間の間隔が長くなりすぎないようにする

食事の質と量を整えたうえで、足りない部分にだけプロテインを足す、という順番にすると無理がありません。

試合・シーズンの日程から食事を逆算する

KCFAのTOP8・BIG8の部員は、リーグ戦の日程から食事の準備を逆算できます。2026年10月時点でも、KCFA公式サイトにはリーグ戦の結果が掲載されており、シーズンが進行中であることが確認できます(なお、本サイトが対象とするのは関東学生連盟のTOP8・BIG8のみで、関西学生連盟は対象外です)。日程はTOP8 日程・結果、BIG8 日程・結果で、順位の状況はTOP8 順位表、BIG8 順位表で、各校の情報はTOP8 チーム一覧、BIG8 チーム一覧で確認できます。

試合の前週は練習の負荷が変わることが多く、食事のリズムも崩れやすい時期です。日程表を見ながら、試合前日・当日・翌日の補食をあらかじめ決めておくと、慌てずに済みます。部費にプロテイン代が含まれる場合もあるため、費用面は大学アメフトの部費・遠征費の相場で整理した内容も参考にしてください。トレーニングとの関係ではベンチプレスの記録を伸ばす方法も役立ちます。

よくある疑問への答え

練習後30分を過ぎたら効果はないのか

ISSNの見解では、運動後の時間が経つにつれて効果が弱まる可能性があるとされていますが、30分を過ぎると効果がなくなる、とは書かれていません。早めに摂るに越したことはない、という程度に受け止めるのが現実的です。

まとめ

出典

本記事は、上記の公開資料をもとに、2026年10月時点で編集部が構成した一般的な解説です。体質・持病・アレルギー・服薬の状況によって適した摂取量は異なるため、実際の計画は医師・公認スポーツ栄養士・管理栄養士およびチームの指導者に確認してください。

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