ポジション別 2026-10-15

アメフトのスペシャルチームの役割|キックオフ・パント・FGを規則から解説

はじめての方向け

との試合が続く中で、ふと「キックの場面だけ出てくる選手たち」が気になったことはありませんか。や、のときにフィールドに入る一団は、一般にと呼ばれます。この記事では、スペシャルチームがどの場面で出てきて、規則上どのような決まりの中でプレーしているのかを、日本アメリカンフットボール協会(JAFA)が公開している公式規則書をもとに整理します。観戦の見どころを知りたい方にも、新しくスペシャルチームを任された新入部員にも使えるように、場面ごとに区切って説明します。

スペシャルチームとは何か

スペシャルチームという言葉は、規則書の条文には出てきません。規則書で整理されているのは、キックという行為そのものの種類です。そのため、本記事では「キックが関わるプレーを担当するユニット」を指す一般的な呼び方として使います。

公式規則書は、キックを大きく2つに分けています。

つまり、キックオフ(フリー キック)とパント・フィールドゴール(スクリメージ キック)では、ボールの置き方も、並び方の制限も違います。以下ではこの2系統に分けて見ていきます。

3種類のキックの違い

規則書には、キックの蹴り方も定義されています。

キックの種類規則書の定義の要点キックオフでの使用
パントボールを落下させ、地面に触れる前に蹴る使えない
ドロップ キックボールを落下させ、地面に触れた直後に蹴る使える
プレース キックティーまたはグラウンド上に置かれたボールを蹴る(味方が保持してもよい)使える

キックオフは「プレース キックまたはドロップ キック」で行うと定められています。パントでキックオフをすることはできません。一方、セイフティの後のフリー キックはパント、ドロップ キック、プレース キックのいずれでもよいとされています。

なお、規則書のうえでは、ドロップ キックは「ボールが地面に触れた直後に蹴る」ことが要件です。規則書の解説例では、キッカーが空中に投げたボールが地面に落ちて数フィート跳ね返ってから蹴られたケースが、ドロップ キックの要件を満たさない不正なキックとして挙げられています。蹴るタイミングひとつにも規定があることがわかります。

キックオフ:並び方に決まりがある

キックオフは、前後半の開始時、の後、成功したフィールドゴールの後に行われます(を除く)。このときの並び方は、規則書の「フリー キック フォーメーション」で細かく決められています。

キックする側(Aチーム)の決まり

受ける側(Bチーム)の決まり

キックオフのライン。キックチームの線は自陣35ヤード、レシーブチームの線はその10ヤード前方。エンドゾーンで止まるとタッチバックで25ヤードから攻撃
キックオフのライン。キックチームの線は自陣35ヤード、レシーブチームの線はその10ヤード前方。で止まるとで25ヤードから攻撃

キックしたチームは、すぐにはボールに触れない

キックオフには「キックしたチームが勝手にボールに触れてはいけない」という決まりがあります。キックチームのプレーヤーは、次のいずれかになるまでキックされたボールにタッチできません。

  1. ボールがレシーブチームのプレーヤーにタッチした後
  2. ボールがレシーブチームの制限線を越えた後(越えた位置のプレーヤー、グラウンド、審判員などにタッチした後を含む)

レシーブチームの制限線はキックチームの制限線から10ヤード前方ですので、ボールが少なくともそこまで届かなければ、キックチームは自らボールを確保しにいけません。接戦の終盤に、あえて短いキックを蹴って自分たちで確保を狙うキックは、一般にオンサイドキックと呼ばれます。規則書の解説例にも、残り1分を切って追い上げるチームがオンサイドキックを試みる場面が登場します。観戦中にキックオフが短く蹴られたときは、この「10ヤード」の決まりを思い出すと、プレーの意図が見えやすくなります。

タッチバックとアウト オブ バウンズ

キックオフがレシーブチームにタッチされないままの上や後方のグラウンドに当たると、ボールはデッドになり、タッチバックとしてレシーブチームの25ヤードラインから攻撃が始まります。

また、キックオフがレシーブチームのプレーヤーにタッチされないまま、ゴールライン間での外に出た場合は、キックチームのです。この場合、レシーブチームは次の中から選べます。

つまり、キックオフを遠くへ蹴りたい場面でも、サイドラインを割るリスクは規則の面で重く設定されています。

キックオフを受ける側のプレー:リターンとフェアキャッチ

キックを受ける側のプレーヤーにも、規則上の守りがあります。

キャッチする機会の妨害

インバウンズにいるレシーブチームのプレーヤーは、キックをキャッチできる位置にいてキャッチしようとしている場合、妨害されずにキャッチする機会が与えられます。レシーバーがボールにタッチする前に、キックチームのプレーヤーがレシーバーの両肩の幅で正面1ヤードのエリアに入った場合は、妨害の反則です。規則書には「疑わしい場合は、反則である」とも書かれています。

ゴールライン間でこの反則があった場合の罰則は、反則地点から15ヤードで、レシーブチームのボールでです。守りが手厚い分、キックチームは受け手に近づくタイミングに気を付ける必要があります。

フェアキャッチのシグナル

レシーバーは、有効なフェアキャッチのシグナルを出すと、キャッチの後に前進しないことを宣言する代わりに、キックチームからのタックルやブロックから守られます。

この「リターンするか、フェアキャッチで確実に確保するか」の判断は、レシーバーの大きな役割のひとつです。

パント:陣地を動かすスクリメージ キック

パントはスクリメージ キックのひとつです。ボールを確保しているAチームが、ニュートラル ゾーンかその手前でスクリメージ キックを行えば、それは正当なキックになります。次のような決まりが重要です。

つまり、パントは「蹴ったチームが蹴ったボールを自分で拾う」ことが基本的にできない構造になっています。この仕組みが、パントを陣地を動かす手段として成り立たせています。

レシーブチームがニュートラル ゾーンを越えたキックにタッチしたとき、どのプレーヤーもボールをキャッチまたはリカバーできます。パントの後は、蹴ったチームのプレーヤーが相手より先にボールを触ることはできない一方で、触れてからは両チームが争える状況になる、というイメージです。

フィールドゴールとトライ:ホルダー、キッカー、スナッパー

フィールドゴールの試みは、プレース キックまたはドロップ キックで行われるスクリメージ キックです。得点は規則書で次のように定められています。

フィールドゴールの場面で働くのは、ボールをスナップするスナッパー、ボールを地面に置くホルダー、蹴るキッカーです。規則書では、ホルダーを「グラウンド上やキッキング ティー上のボールを保持しているプレーヤー」と定義しています。スナッパー、ホルダー、キッカーの3人が呼吸を合わせてはじめて成立するプレーといえます。

蹴る位置を示す道具は使えない

スクリメージ プレース キックの地点を示すため、またはボールを置くために用具や物質を使用することは反則です。ライブボール中の反則で、罰則はプレビアス スポットから5ヤードと定められています。

守る側にも決まりがある

プレース キックのフォーメーション(フィールドゴールまたはトライ)で、Bチームの3人のプレーヤーがスクリメージ ライン上のブロッキング ゾーンの中で肩を並べてセットし、スナップ直後に同時に前方へ動いて、Aチームの1人のプレーヤーに最初に接触することは不正です。ブロックしようとする側の動き方にも規則上の制限があります。

失敗したときの次のプレー

フィールドゴールが不成功で、ボールがニュートラル ゾーンを越えてデッドになり、Bチームにタッチされていないとき、ボールはBチームに所属します。次のスナップは、超過節を除き、原則としてプレビアス スポットで行われます。ただし、プレビアス スポットがBチームの20ヤードラインとゴールラインの間の場合は、Bチームの20ヤードラインで次のスナップを行います。つまり、ゴールに近い位置からのフィールドゴールが外れても、守備側の攻撃開始位置は20ヤードラインまでしか下がりません。

2026年度の規則変更:スペシャルチームに関わる点

JAFAは2026年7月7日付で「2026年度・公式規則変更内容・決定報」を公表しました。この変更は2026年秋季公式戦から適用されます。スペシャルチームに関わるものが2つ含まれています。

フェアキャッチ キックの規定

従来、フェアキャッチの後は、キャッチした地点でレシーブチームがスナップによってプレーを始める、という規定のみでした。2026年度からは、スクリメージ キックまたはフリー キックのフェアキャッチの後、レシーブチームがスナップで始めるか、フェアキャッチ キックによるフィールドゴールの試みを選ぶかを選択できます。

フェアキャッチ キックは、ホルダーを用いたプレース キック(ティーは使用しない)またはドロップ キックで行います。ディフェンスは、ボールが蹴られるまでスクリメージラインから少なくとも10ヤード後方にいなければなりません。キックが成功すれば3点が与えられ、失敗した場合は、スクリメージ キックのルールと不成功のフィールドゴールの後のルールが適用されます。

スクリメージ キック フォーメーションの規定

背番号50〜79のラインマンが5人未満の場合の扱いが変更されました。スナッパーとその両隣の片側2人ずつのラインマンはタックル ボックス内に位置しなければならず、その5人は、50〜79以外の背番号であっても無資格レシーバーとなります。

さらに、規則書では「スクリメージ キック フォーメーション」と認められるための要件として、背番号50〜79のラインマンが少なくとも5人いること(または番号の例外要件を満たすこと)が条文化されています。キックの試みが行われることが明白でなければならないとも定められています。

規則は毎年見直される前提のものですので、記事中の数字や条件は、観戦や出場の前に最新の規則書で確認してください。

観戦のコツ:キックの場面で見たい3つのこと

最後に、ここまでの規則を踏まえて、観戦時に注目しやすいポイントを3つ挙げます。

  1. キックオフがどこに届いたか:10ヤード前方の相手の制限線を越えたか、ゴールラインを越えてタッチバックになったか。タッチバックなら25ヤードから攻撃が始まります。
  2. レシーバーが手を振っているか:フェアキャッチのシグナルが出ていれば、タックルは禁止され、キャッチした地点から攻撃が始まります。
  3. 第4ダウンで何を選ぶか:パントで陣地を動かすのか、フィールドゴールで3点を取りにいくのか、攻撃を続けるのか。点差や残り時間で判断が変わる場面です。

関東学生アメフトのTOP8・BIG8の試合を観るときも、キックの場面ではここまでの視点が使えます。直近の試合の流れはTOP8の日程・結果やBIG8の日程・結果で、チームごとの成績はTOP8の順位表やBIG8の順位表、TOP8の記録室で確認できます。接戦の試合を選ぶと、タイブレークや終盤のキックが勝敗を分ける場面に出会いやすくなります。同点でも勝敗が決まる関東独自の運用はアメフトのタイブレークルールを解説した記事に、反則の種類は反則一覧の記事にまとめています。試合の基本の流れは大学アメフトの試合時間とルール入門も参考にしてください。

まとめ

出典

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